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面貸し・シェアサロン美容師の確定申告|面貸し料・席料の勘定科目も解説

「面貸しで働き始めたけれど、確定申告は何から手をつければいいの?」「シェアサロンの利用料は、帳簿のどの科目に入れるの?」——サロンに勤めていた頃は給与から税金が天引きされていたのに、面貸し・シェアサロンに移った途端、税金のことをすべて自分でやらなければならなくなり、戸惑っている美容師さんは少なくありません。

面貸し・シェアサロンで働く美容師は、税務上は「個人事業主」です。売上の計上方法、面貸し料・席料の勘定科目、消費税の取扱いなど、サロン勤務時代にはなかった論点を一つずつ押さえる必要があります。

この記事では、美容室・サロン専門の税理士事務所フェリスが、面貸し・シェアサロン美容師の確定申告を現場の実務に沿って解説します。読み終える頃には「自分は何を、いつまでにやればいいのか」が整理できるはずです。

1. 面貸し・ミラーレンタル・シェアサロンの契約形態と税務上の立場

ひと口に「面貸し」と言っても、契約のかたちはいくつかあります。

  • 面貸し(ミラーレンタル):既存サロンのセット面(鏡と椅子)を借りて、自分のお客様に施術する。固定の席料、または売上の◯%をオーナーに支払う
  • シェアサロン:複数の美容師が共同利用する施設を、時間貸しや月額制で利用する。予約システム・受付・タオル・シャンプー台込みのプランも多い
  • 業務委託サロン:サロン側が集客し、施術した売上の歩合を報酬として受け取る

どの形態でも、雇用契約を結んでいない以上、税務上の立場は共通して個人事業主です。収入は「給与所得」ではなく事業所得(事業から生じるもうけ)となり、年末調整はありません。自分で帳簿をつけて確定申告をする必要があります。働き始めたら、税務署に開業届と、節税メリットの大きい青色申告承認申請書を出しておきましょう。

なお、美容師への業務委託報酬は、所得税法で源泉徴収(支払時に所得税を天引きする制度)の対象として列挙されていないため、原則としてサロン側の源泉徴収は不要です。ただし、出勤時間や仕事の進め方を細かく拘束されているなど、実態が雇用と変わらない場合は「給与」と判定され、源泉徴収が必要になります。契約書のタイトルではなく、働き方の実態で判断される点に注意してください。

2. 売上の計上方法 — 歩合制でも「総額」で計上するのが原則

面貸し美容師の売上計上でもっとも多い間違いが、「振り込まれた金額だけを売上にする」ことです。お金の流れ別に整理しましょう。

自分でお会計を受け取るケース(面貸し・シェアサロン型)

お客様から受け取った施術代金の総額が売上です。たとえばカット&カラーで15,000円をいただき、売上の40%を面貸し料としてオーナーに支払う契約なら、「売上15,000円、面貸し料6,000円(経費)」と両建てで記帳します。差引き後の9,000円だけを売上にするのは誤りです。

サロンがレジを管理し、歩合が振り込まれるケース(業務委託型)

サロンが集金し、歩合分を報酬として受け取る契約なら、支払明細書に記載された報酬の総額が売上です。明細上で材料費の負担分や席料が差し引かれている場合も、「報酬総額を売上、差し引かれた分を経費」と総額で記帳するのが原則です。

指名客とフリー客で歩合率が違う場合や、店販(シャンプーなどの物販)の歩合がある場合も、明細をもとに総額で計上します。後述する消費税の納税義務は売上の総額で判定するため、差引き後の金額(純額)で記帳していると、判定を誤るおそれがあります。

3. 面貸し料・席料・シェアサロン利用料の勘定科目 — 地代家賃か支払手数料か

「面貸し料の勘定科目が分からない」というご相談は非常に多いです。結論から言うと、契約の中身によって「地代家賃」か「支払手数料」に分かれます。判定の目安を表にまとめました。

契約のタイプ 勘定科目の目安 判定のポイント
特定のセット面を月額固定で借りる 地代家賃 「場所を借りる権利」への対価。契約書に「賃貸借」「使用させる」とあることが多い
売上の◯%を支払う歩合型の面貸し 支払手数料 場所代というより、設備や運営サービスへの対価の性格が強い
予約システム・受付・水道光熱費・タオル込みのシェアサロン利用料 支払手数料(賃借料も可) 施設利用サービス全体への対価。契約書は「施設利用契約」となっていることが多い
時間単位でその都度支払うミラーレンタル 支払手数料 継続的な賃貸借ではなくスポット利用のため

まず契約書を確認し、「賃貸借契約」として特定のスペースを継続的に借りているなら地代家賃、売上連動やサービス込みの利用契約なら支払手数料、と整理するのが実務的です。

正直なところ、どちらの科目を選んでも経費になることに変わりはなく、所得税の金額も同じです。大切なのは、契約の実態に合った科目を選ぶこと、そして一度決めた科目を毎年継続して使うことの2点です。

4. 面貸し料にかかる消費税の取扱い(オーナー側・借りる側)

家賃というと「消費税がかからない」イメージがあるかもしれませんが、非課税になるのは住宅の家賃だけです。面貸し料・席料・シェアサロン利用料は事業用スペースの利用料なので、消費税の課税取引になります。

借りる側(面貸し美容師)のポイント

  • 基準期間(前々年)の課税売上高が1,000万円以下などの要件を満たす免税事業者なら、消費税の申告・納税は不要
  • 課税事業者なら、支払った面貸し料の消費税は仕入税額控除(支払った消費税を差し引ける仕組み)の対象。原則としてオーナーからのインボイス(適格請求書)の保存が必要
  • 面貸し美容師のお客様は一般消費者が中心のため、インボイス登録が必須とは限りません。登録すべきかは売上規模や取引先によるので、慎重に判断を

貸す側(サロンオーナー)のポイント

  • 面貸し料収入は課税売上です。施術売上と合算して、基準期間の課税売上高が1,000万円を超えると課税事業者になります。基準期間が1,000万円以下でも、特定期間(前年1月〜6月)の課税売上高と給与支払額がいずれも1,000万円を超えると課税事業者になる判定があるため、省略せず確認を
  • 借り手の美容師さんが課税事業者の場合、インボイスの発行を求められることが多くなります

インボイス登録した場合の「2割特例」(売上で預かった消費税の2割だけ納める簡便な計算)は、個人事業者では令和8年(2026年)分まで適用できます(※2026年6月時点)。その後の取扱いを含め、最新情報は国税庁サイトや税理士にご確認ください。

5. 面貸し・シェアサロン美容師の経費一覧

面貸し美容師が経費にできる主な支出を、勘定科目とあわせて一覧にしました。

経費の内容 勘定科目の例 ポイント
面貸し料・席料・シェアサロン利用料 地代家賃/支払手数料 契約の実態で判定(前章参照)
カラー剤・パーマ液・トリートメント剤 仕入高(材料費) ディーラーからの請求書・納品書を保存。年末に残った分は棚卸(在庫の数え上げ)を
シザー・ドライヤー・アイロン 消耗品費 10万円以上は数年に分けて経費化(減価償却)。青色申告なら30万円未満を一括で経費にできる特例あり
集客サイト掲載料・予約アプリ手数料 広告宣伝費/支払手数料 売上から相殺されている分も忘れず総額で計上
移動の電車代・ガソリン代・駐車場代 旅費交通費 講習やシェアサロン間の移動も対象
講習会・セミナー代、練習用ウィッグ 研修費/消耗品費 技術向上のための支出も経費にできる
タオル・クロスの購入、クリーニング代 消耗品費/雑費 衛生関連の細かい支出も積み重なると大きい
スマホ通信費・SNS広告 通信費/広告宣伝費 プライベート兼用は家事按分(仕事で使う割合だけ経費にする)

科目選びに迷っても大丈夫です。まずは「レシート・請求書・支払明細を捨てずに全部残す」ことが何より大切です。

6. 確定申告の手順と申告が必要なライン【令和7年分以降の改正後基準】

確定申告までの流れは次のとおりです。

  1. 開業届・青色申告承認申請書を税務署に提出(青色申告は適用したい年の3月15日まで。年の途中で開業した場合は開業から2か月以内)
  2. 日々の売上・経費を記帳する(会計ソフト、または税理士への記帳代行)
  3. 年明けに決算整理(材料の棚卸、家事按分の計算など)を行う
  4. 原則2月16日〜3月15日に申告・納税(e-Taxでの提出がおすすめ)

「いくら稼いだら申告が必要?」というラインについては、令和7年分(2025年分)以降、基礎控除が48万円から58万円に引き上げられました。さらに所得水準に応じた特例加算があり、令和7・8年分は時限的な上乗せにより最大95万円となる層もあります。いわゆる「103万円の壁」も再編されるなど、申告や扶養のラインはここ数年で大きく変わっています。

目安として、収入から経費を引いた所得が基礎控除などの所得控除の合計以下なら所得税はかかりませんが、ご自身がどのラインに当たるかの判定は複雑になっているため、迷ったら税理士に確認するのが安全です。なお、青色申告ならe-Tax提出などの要件を満たすことで最大65万円の青色申告特別控除が受けられます(紙提出は55万円、簡易な帳簿は10万円)。確定申告の全体像は確定申告サポートのページでも詳しく解説しています。

もう一つ忘れがちなのが個人事業税です。美容業は第3種事業として税率5%の対象ですが、事業主控除290万円があるため、事業のもうけが290万円以下なら原則かかりません。確定申告をすれば都道府県側で自動的に計算されるので、別途の手続きは不要です。

7. 記帳から確定申告まで丸投げしたい面貸し美容師の方へ

ここまで読んで「正直、施術と集客で手一杯。帳簿まで手が回らない」と感じた方も多いはずです。面貸し・シェアサロンの美容師さんは、指名のお客様の対応、SNSでの発信、材料の発注までひとりでこなしており、営業後に帳簿をつける余力は残っていないのが現実だと思います。

美容室専門税理士事務所フェリスでは、フリーランス美容師向けサポートとして、レシートを郵送またはLINEで撮影して送るだけで完結する記帳代行から、青色申告の確定申告、消費税申告、税務・経営の相談までを月額19,800円(税込)の1プランでサポートしています。面貸し料の科目判定やインボイス登録の判断など、この記事で触れた論点もすべてお任せいただけます。

まとめ

  • 面貸し・シェアサロン・業務委託の美容師は、税務上はすべて個人事業主。事業所得として自分で確定申告が必要
  • 売上は振込額ではなく総額で計上。差し引かれた面貸し料や材料費は経費として両建てする
  • 面貸し料・席料の勘定科目は契約の実態に応じて「地代家賃」か「支払手数料」。どちらでも経費になる点は同じで、毎年の継続適用が大切
  • 面貸し料は消費税の課税取引。免税・課税の判定やインボイス登録の要否は、売上規模と取引先で慎重に判断
  • 令和7年分以降は基礎控除58万円への引上げなど申告ラインが変わっている。迷ったら専門家に相談を

関連ページ:美容室・サロンの確定申告サポート記帳代行・経理代行フリーランス美容師向けサポート

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