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美容師の副業に確定申告は必要?20万円ルールと掛け持ち勤務の税金を解説

「平日は正社員としてサロン勤務、休日は別のお店で面貸し」「夜や休日に訪問美容のヘルプに入っている」——働き方の多様化で、こうした掛け持ちスタイルの美容師さんが増えています。収入源が増えるのはうれしい一方、気になるのが税金のこと。「副業は20万円以下なら確定申告しなくていいって聞いたけど、本当?」というのは、私たち美容業専門の税理士事務所がよくいただくご質問です。

実はこの「20万円ルール」、正確に理解していないと住民税の申告漏れにつながったり、逆に、申告すれば戻ってきたはずの税金を受け取り損ねたりすることがあります。判定の基準が「収入」ではなく「所得」である点も、よく誤解されているポイントです。

この記事では、美容室専門税理士事務所フェリスが、副業をしている美容師さんの確定申告について、申告が必要になる仕組み・経費の考え方・本業のサロンへの配慮(住民税の納付方法)まで、現場目線でわかりやすく解説します。※2026年6月時点の制度を前提にしています。

1. 美容師に多い副業パターン——「給与」か「報酬」かで扱いが変わる

ひとくちに副業といっても、税金の世界ではまず「その収入がどの所得に当たるか」で取り扱いが変わります。美容師さんに多いパターンを整理すると、次のとおりです。

副業のパターン 収入の性質 所得区分(原則)
別のサロンに雇われて勤務(ダブルワーク) 給与 給与所得
面貸し・業務委託で施術する 報酬(歩合・売上) 事業所得または雑所得
訪問美容・出張施術を個人で請け負う 報酬 事業所得または雑所得
店販品やシザー等のネット販売 売上 雑所得など
SNSのPR案件・アフィリエイト 報酬 雑所得

見分け方の目安は契約の形です。シフトに入って時給や月給をもらうなら「給与」、席だけ借りて自分のお客様を施術し、売上の何割かを受け取るなら業務委託の「報酬」です。給与か報酬かで、後述する20万円ルールの当てはめ方や経費の扱いが変わるため、まずご自身の副業がどれに当たるかを確認しましょう。契約書の名前が「業務委託」でも、実態が雇用に近ければ給与として扱われる場合もあります。

2. 「20万円ルール」の正確な意味——不要なのは所得税の申告だけ

よく言われる「副業20万円以下なら申告不要」の正確な中身は、次のようなものです。

  • 1か所から給与を受けていて年末調整が済んでいる人は、給与・退職金以外の所得の合計が年間20万円以下なら、所得税の確定申告をしなくてもよいという特例(給与収入が2,000万円を超える方などは対象外です)

ここで押さえたい注意点が3つあります。

判定は「収入」ではなく「所得」(収入−経費)

たとえば面貸しの売上が年30万円でも、席料や材料費などの経費が12万円かかっていれば、所得は18万円。この場合は20万円以下に収まります。逆に経費がほとんどなければ、売上25万円でも所得が20万円を超え、申告が必要です。

住民税には「20万円ルール」がない

この特例はあくまで所得税のルールです。住民税には同様の規定がないため、所得税の確定申告をしない場合でも、お住まいの市区町村へ住民税の申告は別途必要です。「20万円以下だから何もしなくていい」と放置すると、住民税の申告漏れになってしまう点に注意してください。なお、所得税の確定申告をすればその内容が市区町村に共有されるので、住民税の申告を別に行う必要はありません。

医療費控除などで確定申告をするなら、副業分も全部申告

医療費控除や、ワンストップ特例を使わないふるさと納税などで確定申告をする場合には、20万円以下の副業所得も含めてすべて申告する必要があります。「申告するなら全部、しないなら住民税だけ別途」と覚えておくと整理しやすいです。細かい適用条件は年分によって異なるため、迷ったら国税庁サイトの確認や税理士への相談をおすすめします。

3. 給与を2か所からもらっている場合の取り扱い——年末調整は1か所だけ

掛け持ち先でも雇用契約で働いている場合、つまり給与を2か所からもらっている場合は注意が必要です。年末調整は「扶養控除等申告書」を提出した主たる勤務先の1か所でしか受けられません。もう一方のサロンの給与は「乙欄」という高めの税率で源泉徴収されたまま、年末調整されずに残ります。

原則として、主たる給与以外の給与収入と、給与・退職金以外の所得との合計が20万円を超える場合は、確定申告が必要です。一方で、乙欄では税金が多めに天引きされていることが多いため、申告義務がないケースでも、あえて確定申告をすると税金が還付される(戻ってくる)ことも珍しくありません。給与収入の合計額によっては申告が不要となる例外規定もありますが、判定はかなり複雑なので、両方の源泉徴収票を手元に置いたうえで個別に確認するのが安全です。

4. 副業分の経費にできるもの——按分(あんぶん)の考え方

面貸しや訪問美容など「報酬」型の副業では、収入を得るためにかかった費用を経費にできます。美容師さんの副業でよくある経費の例は次のとおりです。

  • 面貸しの席料・ミラー代(売上歩合型の支払いも含む)
  • カラー剤・パーマ剤など、副業の施術に使う材料の仕入
  • シザー・コーム・ドライヤーなどの道具類
  • ウィッグや練習用品、技術講習・セミナーの受講料
  • 副業先や訪問先への交通費
  • 集客用のSNS広告費や予約管理アプリの利用料
  • スマートフォンの通信費(仕事使用分)

ポイントは「按分」という考え方です。スマホ代のように仕事とプライベートの両方で使うものは、全額ではなく仕事で使っている割合分だけを経費にします。また、本業のサロン勤務(給与所得)のために買った道具は副業の経費にはできないため、「どの収入のための支出か」を分けて考えることが大切です。レシートや支払明細は捨てずに保管し、日付・金額・内容がわかる状態にしておきましょう。

5. 本業のサロンに副業がバレたくない場合——住民税は「普通徴収」を選ぶ

副業が本業の店に知られるきっかけとして多いのが住民税です。住民税は給与から天引き(特別徴収)されるのが原則で、副業の所得が上乗せされると、本業の給与額のわりに住民税が多くなり、給与計算の担当者が気づく可能性があります。

これを避けたい場合は、確定申告書の第二表にある「住民税に関する事項」で、給与以外の所得分の納付方法として「自分で納付(普通徴収)」を選択します。こうすると、副業分の住民税の納付書が自宅に届き、本業の天引き額には反映されにくくなります。

ただし注意点があります。副業が給与所得(雇われのダブルワーク)の場合、給与分の住民税は特別徴収が原則のため、普通徴収を選べない自治体が多いのが実情です。取り扱いは市区町村によって異なり、「絶対に知られない」方法ではありません。そもそも勤務先の就業規則で副業が認められているかの確認も含めて、慎重に進めることをおすすめします。

6. 美容師の副業確定申告——手順と必要書類

実際に申告する場合の流れは、次のとおりです。確定申告の期間は原則として毎年2月16日から3月15日までです。

  1. 収入の資料を集める(本業・副業の源泉徴収票、業務委託の支払明細や売上の記録)
  2. 経費のレシート・領収書を集計する
  3. 副業の所得(収入−経費)を計算し、申告が必要かを判定する
  4. 国税庁の「確定申告書等作成コーナー」やe-Taxで申告書を作成する
  5. 期限内に提出し、納税する(還付の場合は指定口座に振り込まれます)
  6. 所得税の申告をしない場合は、市区町村へ住民税の申告をする

主な必要書類は以下のとおりです。

  • 給与の源泉徴収票(本業・副業の両方)
  • 業務委託の報酬がわかる支払明細書・通帳の記録
  • 経費の領収書・レシート
  • マイナンバーカード(または通知カード+本人確認書類)
  • 生命保険料控除証明書、iDeCoの掛金証明書などの控除資料

「営業後に集計する時間がない」「数字が苦手で自信がない」という方は、税理士に任せてしまうのも一つの方法です。当事務所の美容師・サロン向け確定申告サポートでは、レシートを郵送またはLINEで送るだけで申告まで完結します。

7. 掛け持ちが本格化してきた方へ——青色申告と顧問という選択肢

面貸しや業務委託の比重が増え、「副業」というより「半分独立」に近づいてきたら、税金の対策も次のステージに進みます。

  • 開業届と青色申告:事業として継続するなら、青色申告特別控除(最大65万円。e-Tax申告等の要件あり)や赤字の繰越しなどのメリットがあります
  • 帳簿づけの体制:日々の売上・仕入・席料を記帳する仕組みが必要になります。記帳代行を使えば施術に集中できます
  • インボイスや消費税の検討:取引先や売上規模によっては登録の要否を検討する場面が出てきます

なお、扶養や申告義務の金額ラインは、令和7年分以降の改正(基礎控除の58万円への引上げなど)で大きく変わっています。ご自身がどのラインに当たるかの個別判断は、最新の制度を踏まえて税理士にご確認ください。フリーランスとしての独立を視野に入れている方は、フリーランス美容師向けサポートのページもあわせてご覧ください。

まとめ:20万円ルールは「所得税だけ」。住民税とセットで正しく対応を

最後に、この記事のポイントを整理します。

  • 副業の税金は「給与」か「報酬」かで扱いが変わる。まず契約の形を確認する
  • 20万円ルールの判定は「収入」ではなく「所得(収入−経費)」
  • 所得税の申告が不要でも、住民税の申告は市区町村へ別途必要
  • 給与2か所の掛け持ちは原則申告が必要。乙欄徴収分は還付になることも
  • 本業に知られたくない場合は、給与以外の所得分を「普通徴収」に(ただし確実な方法ではない)

副業の確定申告は、仕組みさえわかれば決して難しいものではありませんが、掛け持ちの収入が増えるほど判断に迷う場面も増えていきます。不安な点があれば、早めに美容業専門の税理士へご相談ください。

関連ページ:確定申告サポートフリーランス美容師向けサポート記帳代行・経理代行

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